住民健康講座
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令和8年1月8日(木)第291回『糖尿病~健康寿命を延ばすために~』
| 場所 | 津市久居アルスプラザ アートスペース 津市久居東鷹跡町246 ※満席の場合、ご入場をお断りいたしますので、予めご了承ください。 |
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| 講師 | 英(はなぶさ)クリニック 医師 牛田美帆先生 |
| 講演要旨 | 平成28年の調査において、「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000万人、「糖尿病の可能性を否定できない者」は約1,000万人と推計され、合計で約2,000万人となり、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は増加し続けています。また男性・女性ともに、年齢階級が上がるにつれ、「糖尿病が強く疑われる者」の割合が高くなっています。 糖尿病は、1型糖尿病、2型糖尿病、その他、妊娠糖尿病に分類されます。最も多い2型糖尿病の病態は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝因子に、過食・運動不足などの生活習慣、肥満などが環境因子として加わり、発症すると考えられます。糖尿病予備軍や境界型糖尿病と言われる病態を経て、糖尿病の確定診断に至ります。多くは中年以降に発症するとされてきましたが、近年は小児や若年者にも増加しています。 糖尿病の治療目標は、合併症を予防して、健康寿命を延ばすことです。合併症には、①糖尿病に特徴的な細小血管の三大合併症(神経障害、網膜症、腎症)、②糖尿病があるとより進行しやすい大血管の合併症(脳梗塞、心筋梗塞、足病変の閉塞性動脈硬化症など)、③その他(感染症、認知症、歯周病など)が挙げられます。 ① 末梢神経障害の症状としては手足の痺れ・痛みが典型的ですが、足潰瘍・足壊疽が進行すると切断が必要になるため、毎日のフットケアが重要です。糖尿病性網膜症の初期は自覚症状がない場合が多く、進行すると眼底出血・網膜剥離・失明につながります。糖尿病性網膜症は成人の失明原因の第3位です。糖尿病性腎症で腎機能低下が進行すると、最終的に人工透析が必要となります。糖尿病性腎症は人工透析の導入原因の第1位です。 ② 糖尿病患者では、血糖値が正常な人と比べて、虚血性心疾患は約3倍、脳梗塞は約2〜4倍、下肢閉塞性動脈硬化症は約2〜4倍の危険性があると言われています。 糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法です。2024年3月日本糖尿病学会から「健康食スタートブック」が公開されているので、食事療法の参考にしてください。適切な摂取エネルギー量は、目標体重とエネルギー係数から計算されるため、患者さん一人一人異なります。必要な栄養素を取り入れて、「3食を規則正しく食べる」「3食のエネルギー量をできるだけ均等にする」「毎食野菜を食べる」「間食を控える」「食べる順番を工夫する」などの食習慣を目指しましょう。 運動療法としては、有酸素運動(中強度の運動、週150分以上、週3回以上)とレジスタンス運動(10回を1〜3セット、週2〜3回)の組み合わせが勧められます。 食事・運動の生活療法で改善しない場合は、薬物治療を開始していきます。糖尿病の薬物療法は、近年著しく進歩している分野の一つです。様々な種類の内服薬や注射製剤から治療を選択できるようになってきており、患者さん一人一人の状態に合わせて、適切な薬剤を処方します。 また、糖尿病管理だけではなく、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病の管理も重要です。動脈硬化の進行を防ぎ、合併症が進行しないように頑張っていきましょう。定期健診、定期通院が大切です! |